第三者の機関が公正中立の立場で診療関連死を調査します

不幸にして家族が病院で亡くなった場合、仮に患者側が医療ミスを疑ったとしても、記録と情報を持つのは医療側です。

民事訴訟は労力と費用がかかりますし、必ず真相にたどりつけるという保障もありません。明白はミスがある場合を除いて、捜査機関が動くことはほとんどありません。

一方、診療に携わった医師の立場から見ても、死因が実際わからないということは少なくありません。特段のミスをしたわけではないのに疑われることは残念ですし、訴訟や捜査の対象になれば、大きな負担です。

そんななか、第三者の機関が公正中立の立場で、診療関連死の原因は何だったのか、今後の教訓とすべき点はあるのか、と調査することを目的として2005年にスタートしたのが、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業(以下、モデル事業)」です。

事業が行われているのは全国10地裁で、北海道、宮城県、茨城県、東京と、愛知県、大阪府、神戸市、岡山県、福岡県の医療機関で起きたケースが対象となっています。患者の遺族、医療機関の双方の合意が前提となっており、医療機関側からモデル事業の地域事務局へ調査を依頼するかたちになります。

遺族の同意書を得るなどの受付業務を調整看護師が中心となって終えるとまず解剖を行います。続いて診療の経過などを調べ、地域評価委員会で検討して報告書をまとめます。

同委員会には総合調整医、解剖担当医、その分野の臨床医、調整看護師のほか、法律家が加わり、地域によっては患者団体などの代表も参加しています。報告書ができれば、遺族と医療機関へ説明を行い、その概要はネット上で公表されます。

2010年からは社団法人「日本医療安全調査機構」が運営を担当していますが、法律ではなく、厚生労働省の予算に基づく事業、調査件数も5年間で100件余りにとどまっています。

 
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